尿石除去剤とは｜業務用の清掃用品・掃除用品ならおそうじモネッツ

■尿石

おしっこの中にはカルシウムイオンが含まれています。
それが濃縮したり炭酸などと反応する事でトイレの便器に、尿石として付着します。
通常は水と一緒に流れてしまう為、家庭で使っているトイレの場合はよっぽどの事がない限り尿石が現れる事はないのですが、不特定多数が仕様する公共トイレ、特に構造上、男性用の小便器に尿石が現れる場合があります。

カルシウムが含まれるという事もあって、一度付着してしまうと通常のトイレクリーナーではなかなか取る事が出来ません。
また、どんどん大きくなっていきますので、最終的には悪臭や詰まりの原因となってしまいます。ドライバーなどを使って物理的にガリガリと削って落とすという事も出来ますが、便器表面を傷つけますのであまりおすすめは出来ません。

■尿石のメカニズム

尿の成分は、尿素、ナトリウムイオン、塩素イオン、アンモニウムイオン、カリウムイオン、尿酸などで、排出直後は臭いは殆どありません。
しかし、一般細菌（雑菌）が出すウレアーゼ酵素によって、尿中に含まれる尿素が分解される事で、悪臭を放つようになってきます。
一般細菌（雑菌）によって分解された尿素は、アンモニアに変換され、アンモニア臭（トイレの尿の悪臭）を発生させます。
また、アンモニアに分解されることで、便器内の液性がアルカリ性に偏ります。
液性がアルカリ性に偏り、phが8.0～8.5を超えると、尿中に溶解していたカルシウムイオン（Ca2+)が難溶性カルシウム化合物（炭酸カルシウム、燐酸カルシウムなど）に変質します。
これが尿石といわれるものです。
尿石は多孔質であるため、有機物や一般細菌が蓄積しやすい性質となっています。
そして、配水管やトイレの見えない部分等にも、尿石は付着し、尿の悪臭や細菌の温床になり、さらに尿石の発生を促すという悪循環になっていきます。

■尿石を取る方法

そこで登場するのが、尿石除去剤となります。
使い方は基本的には通常のトイレクリーナーと変わりませんが、通常、成分に腐食性の酸が使われるなど、非常に強いクリーナーとなりますので、使用の際には注意が必要です。
尿石除去剤を使用する時は、必ずビニール手袋（あるいはニトリル製手袋）を使用しましょう。万が一目に入ると非常に危険ですので、できれば保護メガネも着用して欲しいです（特に擦り洗いする場合）

小便器で特に尿石が付きやすい箇所は、トラップ部分です。トラップは陶器だったりプラスチック製だったりしますが、どちらでも尿石除去剤の使用は可能です。
便器に装着されたまま尿石除去剤を直接塗布してもいいのですが、トラップが取り外し可能ならば取り外して、バケツの中などで浸け置き洗いしてしまうのがオススメです。
例えば学校や駅構内のトイレで、一部屋分のトラップをまとめて浸け置き洗いしてしまいましょう。
※厳密に科学的な話をすると、陶器もプラスチックも、種類によっては酸に弱い素材となります。
流石にそこまで来ると一般に売られていない超強力な腐食酸と特定のプラスチックと呼ばれる事のある物質（ポリスチレンなど）の組み合わせの場合です。
ご心配な場合は、お手数ですがトラップ（又は便器メーカー）にお問い合わせ頂ければ確実です。

■尿石を予防する方法

という訳で一度付着してしまうと取るのが大変な尿石ですが、一番良いのは尿石の付着を防止する事です。
そういった商品もありますし、予防するメンテナンス方法をオススメします。
まず、便器そのものに尿石防止の機能が付いているものがあります。
よくある機能としては、定期的に（人が来なくても）水を流す事で、常にトラップ部分などを清潔に保つ事で尿石を防止するという方法です。近年、新規で便器を設置する際はこういった機能が最初から付いているものが提案される事が多くなっています。
が、ここではそういった機能がなく、「尿石が付いてしまって困っていた。今後はそれを防止したい」という状況を想定して話を進めます。

よく小便器に「芳香ボール」が置いてあるのを見かけた事があるかもしれません。
緑色だったり黄色だったりして、ライムなどの香りがします。
これが日本独特のトイレの臭いを作り出している訳ですが、その芳香ボールと姿形が似ている、尿石防止剤が販売されています。

代表的な商品通常の芳香ボールよりも割高ですが、成分自体が違いますのでご容赦下さい。

エコノパワー70NP

トレピカワン

■尿石はピーピースルーで落ちるのか？

よく頂く質問で、尿石はピーピースルーで落とすことが出来るのか？という問い合わせを頂きます。
化学的な反応で言いますと×です。尿石はアルカリの固まりです。
落とすには酸性のアプローチが必要なのですが、ピーピースルーは強アルカリの洗剤となりますので、尿石に対しての除去方法としてはNGです。
が、ピーピースルーは水と反応時に熱を発するという性質があります。その熱で結果的に尿石が落ちるという事も、どうやら清掃業者の方々の話を聞いていると、本当にあるようです。

とはいえ、その熱によりプラスチック製のトラップが溶けてしまったりなどの副次的なデメリットもありますので、あまりオススメは出来ません。
髪の毛など他の詰まりの原因となっているものには強力な効果を発揮しますので、トイレに使うものではない、という訳ではないのですが。
なので、「結果的に落ちればラッキー」くらいの感覚でOKだと思います。
但し、絶対に混ぜてはいけません。
非常に危険です。

■混ぜるな危険？

尿石除去剤や、その他の酸性洗剤などには「混ぜるな危険」の表記があります。
特に細かく表記されているものですと、塩素系の洗剤などと混ぜないで下さいという旨の表記が見られるかと思います。
この表記は正しく、特にトイレや浴室でのクリーニングの現場に置いて、酸性洗剤と塩素系洗剤（カビキラーなど）が一緒に使われるコンディションがあり、塩素ガスが発生し非常に危険です。

洗剤と洗剤を混ぜないで下さい。混ぜてもOKな組み合わせもあります。但しそれを判断する事は非常に難しいのです。酸性洗剤や塩素系洗剤に限らず、クリーナー同士を混ぜるのは絶対にやめましょう。